【機材レビュー①】dragonfly CS-5の教科書
どうも。社会の歯車になりました、ばら(@1030bara)です。
記念すべき機材レビュー第一回は、自分の5弦ベースのメイン機である「dragonfly CS-5 CUSTOM KUROKAKI(黒柿)」についてやっていきます。
囲碁健康体操さんを筆頭として、twitterやYouTubeの演奏者さんなどの使用率が徐々に伸びてきているdragonfly(ドラゴンフライ)・・・
しかしネット上ではレビューの数なども少なく、加えて、市場流通量の多くなさや安くはない値段など、なかなか触れる機会も多くはないのではないでしょうか?
今回はdragonflyの中でも一番人気とされるモデルこと「CS-5」に照準を合わせた記事を書いていきたいと思います。
その中で僕が4年近く使ってきた中で身につけてきた裏技もご紹介していきたいと思います!
はじめに結論
- dragonfly CS-5はどんなジャンルに対応できる懐の広さがあるよ!
- そのかわり音に個性は少ないよ!(良くも悪くも)
- 34インチ/24フレットなので演奏性は快適、弦高も低めにセッティングできるよ!
- 重量も軽いので長時間のリハ/ライブでも楽だよ!
- ローBの鳴りのは個体差があるよ!
- トータル的に色々な人にオススメしやすい5弦ベースではあるよ!
- アウトボードプリアンプでメインの音作りをする人には特にオススメだよ!
dragonflyの演奏動画
とりあえず僕のdragonflyを使った演奏動画をば・・・
↑大学時代に所属してたサークルの演奏です。2年前くらいの演奏かな?
ラインで録音されているのでdragonflyの音が分かりやすいのではないでしょうか。
・Double Market/DIMENSION
・366日/HY
・Breaking All Illusions/Dream Theater
・突キ破レル-Time to SMASH(Re:boot)/T.M.Revolution
という音楽性の振れ幅の広い、節操の無いセットリストですが、全編を通してdragonfly一本で対応できています。
僕が所属していたサークルは、ポップス・アニソン・ボカロ・ロック・ハードロック・メタル・メタルコア・Djent・ジャズ・フュージョン・ファンク・ポストロック・マスロックetc・・・本当にオールジャンルな音楽性のサークルだったんですけど、基本的にはdragonfly1本で対応できました。
最近バズってる輝夜月(@_KaguyaLuna )ちゃんが歌ってるUFOのCMの曲で、ベースを弾き倒してみました
— ばら (@1030bara) March 20, 2019
ちなみに僕はカップ焼きそばの中ではUFOがダントツで好きです😇😇#日清焼きそばUFO#濃い濃いソース#輝夜月#Vtuber#マキシマムザホルモン#弾いてみた#ベース#dragonflybass pic.twitter.com/pxWGf9r83i
↑このようなテクニカル系のプレイも快適にプレイできます。
Insomnia/Periphery
— ばら (@1030bara) March 14, 2019
ホワイトデーなのでジェントルマンらしくペリフェリー弾きました。
オタクアングルマシでやってます。#ホワイトデー#本命チョコ#Periphery#P4#Insomnia#Djent#bass#弾いてみた#dragonflybass#darkglass pic.twitter.com/nrUVBRlQsk
↑Djentだってなんのその。万能。
・・・という風に幅広い音楽性に対応でき、テクニカルフレーズ系も弾きやすいプレイアビリティの高さが伝わったかと思います。
dragonflyとの出会い
そもそも僕がdragonflyというメーカーを知ったのは確か2013年くらいだった気がします。当時、
- 5弦
- 24フレット
- あんまり重くない
- ボディは丸めのシェイプがいい(ただの好み)
- 音質のアクティブ感がキツすぎないもの
- 一本でどんなジャンルにも対応できる(これが一番大事だった)
っていうザックリとした軸で探していたところ、当時ニコ動の演奏者として活躍されていたよづのさんという方が使用されていて知りました。ドンピシャのスペック!
自分は何本もベースを持つというよりは、信頼できる1本で様々なジャンルをやりたいというタイプの人間なので、その観点からもdragonflyはバッチリでした。
(↑よづのさんがdragonflyを使用されている動画です。サウンド面・プレイ面のどちらもベーシストの方にははぜひ見て欲しい内容になっています)
その後、タイミングが合い2015年5月頃に新宿のKEYさん(現在は閉店)で購入。ぼちぼち4年目の付き合いになります。
現在までベース本体に大きなトラブルもなく、安心の国産クオリティです。
(dragonflyを作ってらっしゃるハリーズエンジニアリングさんは恵比寿で工房を営まれています。)
スペック
- ボディ:Kurokaki/L.Ash
- ネック:Maple/Walnut 5P
- 指板:パーフェロー
- スケール:864mm(34インチ)
- フレット:dragonfly Hybrid-2 #214SUS
- フレット数:24
- ピックアップ:dragonfly dfsb-5N&B
- プリアンプ:dragonfly DFBP-3
- ブリッジ:GOTOH 404SJ-5
- ペグ:GOTOH GB707
- 重量:約4.0kg
という感じです。
1点ずつ細かく見ていきましょう。
①ボディ
【トップ材:黒柿 バック材:ライトアッシュ】
これでもかと言わんばかりに見た目の主張の強いトップ材・・・サイコーですね。硬めの材なので立ち上がりの良いカチっとしたサウンドになります。
加えて、バック材がライトアッシュなので全体的な出音は低音がグッと出るというよりは中〜高音域にピークがある印象です。
②ネック
【メイプルとウォルナット】の5P仕様です。多弦ベースでは強度確保のため5P加工がよくありますよね。
最近は安定してきたものの、僕の個体は購入後2年程度はネックが動きやすかった印象です。管理には気を使っていたのですが・・・
ネット上の声を見ると反応はマチマチなので、一概にdragonflyベースのネック強度が低いとは言えないでしょう。
ジョイント部分は【ボルトオン5点留め】です。後述するのですが、ローBの鳴りが弱いと感じたらここを締める/緩めるで大きく変わる可能性があります。
【864mm/34インチ】のネック=一般的な4弦ベースと同じスケール感なのも弾きやすいポイントです。
③ヘッド周り
「D」のロゴがかっこいいですね。余談ですがここ2年くらいのdragonflyベースのロゴは小文字の「d」みたいです。僕は大文字の方がかっこいいと思うな〜
ボディ材とマッチングして黒柿なのが最高にcoolです。
・ペグは【GOTOH GB707】です。
軽量なペグなのでヘッド落ちの心配などもありません。チューニング精度も高く、ストレスレスです。
・ナットは【牛骨】です。4年近く使用してもナットの減りは大きくは見られません。
今後減り等でナット交換をする機会があれば、ブラスナットにしてみたい欲が多少あります。
中〜高域にピークがあるこのベースですが、スラップでプルをした時に美味しい4~8Kくらいのキャリっとした部分が弱い気がするのでブラスナットでそこを引き出せないかな、という算段です。逆に言えば【まとまりのいいサウンド】ってことですけどね。
④フレット/指板
・フレットはdragonflyのオリジナルのステンレスフレット【HYBRID-2 #214SUS】が搭載されています。
ステンレスなので強度が高く、4年の使用でも全くと言ってほどフレットの減り・汚れは目立ちません。管理が楽です。
よく言われる「ステンレスフレット特有のブライトな音質」は自分には感じませんでした。()
・指板は【パーフェロー】です。2017年に発効したワシントン条約(CITES)でアルダーの代替材としてFenderで扱われ始めたニュースは記憶に新しいですよね。
アルダーと比較すると強度が高く、密度も高いためいわゆる「硬くて抜けのいい」音傾向にあるのではないでしょうか。
個人的な意見ですが、パーフェローは見た目がめちゃ綺麗なので好きです。ステージ映えもします。
偶然ですがメインの4弦ベースも指板はパーフェローです。この話はまたいずれ・・・
⑥ブリッジ
【GOTOH 404 SJ-5】が搭載されています。
大きなポイントしては裏通しが可能な点ではないでしょうか。
僕は1~4弦までを表通し、5弦のみ裏通ししています。5弦のみテンション感が弱く、いわゆる少し「ローBの鳴りが弱い」個体なのでこのような対処法を取っています。これで結構変わります。(僕のローB弦を鳴らすことに対しての技量の問題もあるかもしれませんが)
ちなみに僕が使っている弦は、
1~4弦:エリクサーのニッケル(ロングスケール)
5弦 :エリクサーのニッケル(エクストラロングスケール:テーパー弦)
すなわち、5弦だけバラ売りのエクストラロングスケールのものを買ってます。
dragonfly以外のベースをご使用の方でも、裏通しが可能かつローBの鳴りが弱い場合はこういう対処法もあるのでオススメです。
⑦ピックアップ
【dragonfly dfsb 5N&B】です。メーカーオリジナルのものですね。
比較的、出力は小さい気がします。
カバーが木製なのがフェチポイントを高めます。使用するにつれ削れてくる感じも、渋くてかっこいいのではないでしょうか。
⑧コントロール周り
プリアンプは【dragonfly DFBP-3】が搭載されております。9V駆動です。
それぞれの中心周波数は
トレブル:15KHz ±15db
ミッド :300or480Hz(ミニノブで可変)
300Hz:±10db
480Hz:+11db/-12db
ロー :60Hz:+13db/-14db
となっています。
僕は基本的にパッシブで使用、一部ジャンルのみアクティブで使用という形を取っています。
具体的にはメタルコアなどでよくある、音をバリバリ歪ませたり加工しまくる系のジャンルでアクティブで使います。逆にそれ以外のジャンルでは大抵パッシブで弾きます。(必ずしもその限りでは無いが)
っていうのもこのプリアンプ、DFBP-3っていう機種の周波数に使いづらさを感じるからです。
ハイの15KHzはちょっと周波数として高すぎる、ローの60Hzはもうちょい低い/高い周波数をいじりたいんですよね。
具体的に言うと
ハイは4~8Khz
ローは40Hzか100Hzあたり
です。なので微妙に個人的にいじりたい所とはズレているのでパッシブで使うことが多いです。これをぴったり満たしてくれるのがsadowskyのプリアンプなんですよね。
ちなみにミッドの480Hzと言うのはカットすると無機的な、生暖かさが欠けた音になります。そのためメタルコア等のジャンルでは個人的には積極的にカットする周波数です、だからアクティブで使うんですよね。(この話はまたいずれ)
ローBを鳴らすための工夫
上の方でも書きましたが、dragonflyの個人的に惜しいと思うポイントはローBの鳴りが弱い所です。
そのために僕が行ってる対処法は、
- 5弦のみ裏通しでテーパー弦を使用
- テンションバーの増設
- ネックジョイント部分の締め/緩め
ですね。1については上の方で書いたので割愛します。
僕は鳴りを確保するためにテンションバーを5弦にも増設しました。(ハリーズさんでリペアしてもらった)
(引用:https://www.harrysjp.com/basses/cs5-main.htm)
↑通常のCS-5です。ヘッド部分に注目してください・・・5弦にテンションバーは無くないですか?
そうなんです、レギュラー仕様のCS-5は5弦にテンションバーが無く、3,4弦のみなんです。
2年前くらいに思いつきでKEY楽器さん経由でハリーズさんにリペア出してもらってこの手術をしてもらいました。
結果は成功でした。緩かったローBのテンション感は確実に増えて、サスティンも伸びました。
dragonfly CS-5をお持ちの方で同様のお悩みがある方は、まずはセッティングや弦を詰めた後も変わらないようなら、この手術をオススメします。手術跡は若干残りますが・・・
3のネックジョイント部分を締める/緩めると言うのも大きな変化を産むかもしれません。
自分は結構キツめに締める方だったのですが、半年くらい前に少し緩めたら、劇的にローBの鳴りが変わりました。これも同じお悩みを抱えていらっしゃる方が居れば、ぜひお試しください。
音作り
・・・・僕は基本的に、いいベースはアンプかインターフェース等にインサートしたらそれで音作りは終了、と思ってるので特に言うことはありません・・・もちろんdragonflyもその対象です。
ただ僕の好みのサウンドは、軽く歪んでいてどの奏法でもその奏法特有の美味しいところを出せるサウンドです。
個人的にdragonflyはどのジャンルにも適合できる反面、主張するようなサウンドをベース単体で出すのは苦手かもしれません。そのため、僕はアウトボードプリアンプでサクッと歪ませることが多いです。
darkglass製品を僕は好んでよく使うのですが、dragonflyとの相性はいいかな、と思います。プリの話はまた今度。
まとめ
と言うわけで長々と書いてしまいましたが改めておさらい。
- dragonfly CS-5はどんなジャンルに対応できる懐の広さがあるよ!
- そのかわり音に個性は少ないよ!(良くも悪くも)
- 34インチ/24フレットなので演奏性は快適、弦高も低めにセッティングできるよ!
- 重量も軽いので長時間のリハ/ライブでも楽だよ!
- ローBの鳴りのは個体差があるよ!
- トータル的に色々な人にオススメしやすい5弦ベースではあるよ!
- アウトボードプリアンプでメインの音作りをする人には特にオススメだよ!
って最初に挙げていた理由は説明できたと思います。
僕がdragonflyを購入した4年前と比べてユーザーさんの数は大きく増えたと思います。
とは言ってもまだまだ市場流通量は少なく、希少性も高いです。
加えてあらゆるジャンルにも対応できる万能さやライブ映えのするシェイプやデザイン。重量も重くなく、長時間のスタジオでも扱いやすい現場至上主義な仕様。
手の大きくない人でも扱いやすい、プレイアビリティの高さ。
どの点も他社と差別化されているんじゃないでしょうか。
なのでこれからも僕はdragonflyを愛用すると思います。
長くなりましたが、この記事がdragonflyユーザーさんや、dragonflyに興味を持っている方、そもそも5弦ベースを漠然と探してる方にとって何かしらのプラスがあることを祈っております。
ではまた次の記事でお会いしましょう!ばら(@1030bara)がお送りしました〜
ベースについての色々についてのブログをはじめた
はじめまして、ブログをはじめました。
ベースを営んでおります、ばら(@1030bara)申します。
ベースの機材(竿本体・エフェクター類・アンプ・弦・ケーブルetc...)のレビュー・ベースやあるいはバンド単位の「音作り」について・ベースの演奏について・ハマってるアーティスト紹介・はたまた音楽に関係ないことまで、雑多に書ける場が欲しかったのでブログをはじめました。
エレキベースについては最近、各種SNS上で様々な解説・レビュー・試奏動画などが存在し、一昔前と比べて比べ物にならないほど情報が増えています。
しかし依然としてその数は他楽器ほど多くなく、内容面でも皆さんが知りたい情報が充足されているものは少なく、どこかに書かれていたような所謂「形式知」が羅列されたようなものが多いのではないかなと個人的に思うことがよくあります。(もちろん懇切丁寧にその物事の核心について書かれているコンテンツも存在します)
そうした中、自分が様々な機材や曲に触れてベースについて培ってきた「暗黙知」を皆様に対して有益な形として提供したい、またそれを言語化することであらためて自分の中での知識を整理できればなあという所存です。
とまあ今はこんな風に堅苦しく書いたのですが、軽いノリで書いていきます〜
もちろんベースに特化したブログではありますが、ベーシスト以外の方に対しても満足して頂けるようなコンテンツを作成していければと思います!!目指すのはナンバーワンではなくオンリーワンなブログです!(^○^)
初回の最後は僕のかっこいいベースたちを見てください、いずれ詳細に解説しますm(_ _)m
【4弦ベース】 Sadowsky TYO Teppei Model(川崎哲平さんモデル)
【5弦ベース】 dragonfly CS-5 CUSTOM KUROKAKI(黒柿)